あんじょーら

独立愚連隊西へのあんじょーらのレビュー・感想・評価

独立愚連隊西へ(1960年製作の映画)
4.1
岡本喜八監督     東宝     DVD


2024年公開映画/2024年に観た映画  目標 36/100です。 現在は1/16



いつ見たのか、忘れてしまいましたが、独立愚連隊の後に観たと思いますが、感想を書くの忘れていて、しばらくぶりに見返したので。


北支戦線、歩兵第463部隊は八路軍の攻撃を受けて、軍旗を失ってしまいます。軍旗に強い執着と誇りをかける軍上層部は、捜索隊を派遣して軍旗を戻そうとするのですが八路軍も・・・というのが冒頭です。


という戦争映画ではありますが、もちろん凄い娯楽大作です。それに岡本喜八作品ですから、当然ですけれど、西部劇要素を入れていますし、とてもよく脚本が練られています。


役者陣も、岡本喜八作品の常連の方ばありですし、どの方も顔に非常に強い個性を感じます。


そして主演と言ってもイイのが加山雄三です。


個人的には、加山雄三出演作をすべて見ているわけではありませんし、特に若大将シリーズには全く手を付けてないのですが、間違いなく良い作品の1つに入れられると思います。スターの雰囲気ありますよね。


それでも、最も強く印象に残ったのはやはり成瀬己喜男監督作品「乱れる」です。


そして佐藤允の顔で、この映画の勢いが出ます。本当です。


ここまで緻密に計算されて、なおかつ、自分の独自の構図や、戦争に対する考えにも十分に配慮しながらも、エンターテイメント作品に仕上げている岡本喜八監督の凄さは、やはり特筆に値すると思います。


でも、全部の美味しい所を持って行ったのは天本英世なんですけどね。


三谷幸喜脚本にも通じる、というか岡本喜八監督が先なわけで、脚本のもっと先にも素晴らしい方が居たのかも知れませんけれど、端のキャラクターにまで、必ず活躍する場面があり、なんとなくとか、何のために出てきたのか?とか、というキャラクターがほぼいませんし、どんなキャラクターにも光が当たる瞬間があって、そこも脚本の素晴らしさだと思います。


軍旗はまさに象徴だし、その象徴の為に命を懸ける事の馬鹿々々しさが非常に面白く表れた傑作。


当時の陸軍、本当に大変だったでしょうね・・・・


しかし左文字小隊の存在を思いつくのが凄い。


今でもこのくらい脚本が練られた作品があって欲しいです、邦画の中にも。


あ、よく考えたら、繋がりは無いけれど、前作は独立愚連隊に送り込まれる男の話しで佐藤允が主役の1人ミステリなのに対して、今作は独立愚連隊の隊のキャラの多さがそれぞれ生かされるエンタメになってますね。


エンターテイメント作品が好きな方に、オススメします。