グラビティボルト

インナースペースのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

インナースペース(1987年製作の映画)
3.9
流石「グレムリン」を魅せきったダンテの映画なだけある。
小型化したパイロットが冴えない主人公の体内に入る「ミクロの決死圏」が下敷きのSFなんだけど、
注射に入ったパイロットを博士が悪役から逃がそうとするチェイスとか、滅茶苦茶面白い。
博士が悪党の車から逃げる為に自転車に乗って以降の展開とか、特に良いよね。
対抗車線に入るシーンとか、車よりスリルがあった。

体内のパイロットと身体の持ち主である主人公を主軸にした映画だが、VFX的に限界のある体内での冒険描写は「過去作で観てるでしょう!」と言わんばかりにクライマックスに配置して、ほぼ体内に小型化した人間を隠した主人公がスラップスティックにジタバタする活劇に振り切り、体内での七転八倒は悪役の胃酸による溶解でシメにするバランス感覚が、ヒロインとの接吻に愛情云々ではなく「体内にいるパイロットの移動の為」というこの映画ならではの軽い理由付けをさせてる気がする。

ラストショットが可愛い。
物語が終わる寸前、日常に如何にも馴染めなさそうな主人公が、自らを苛む諸要素をテキパキ笑顔で振り切って、「カウボーイとの追い駆けっこ」という遊びを見付けて走り出していく。