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黒の報告書の3104のレビュー・感想・評価

黒の報告書(1963年製作の映画)
3.7
黒シリーズ2作目(当時はこの作品の前に公開された『真昼の罠』などもシリーズとしてくくられてもいたようだが)は、前作の企業スパイモノから打って変わっての法廷モノ。

増村らしくダレない締まった展開だが、何より目についたのはキャスティングの適材適所さ。
暑い正義感で変化球に対応できぬ宇津井健、不敵にニヤつき奸計を巡らす小沢栄太郎、愚直な人情派の殿山泰司、今回は善玉の先輩役の高松英郎、そしてムスッ、ボテッとした面構えが素敵な叶順子etc・・。

終始しっかりとした造りで面白かったのだが、(ある意味予想通り)“罠”にはまった後にもうひと捻り、せめて半捻りあってもよかったと思えてしまう。「終わり方」という観点から見ると悪くないのだが。

結果として増村作品として見逃せない・・という訳でもなく、さらに言うなら別に増村が撮らなくても成立し得た作品ではないかと。
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