半兵衛

大列車作戦の半兵衛のレビュー・感想・評価

大列車作戦(1964年製作の映画)
4.2
ナチスに運ばれる美術品を阻止しようとするレジスタンスの鉄道員たちの奮闘というやろうと思えばいくらでも娯楽的に出来そうな題材を、ここまで地味に淡々と描くフランケンハイマー監督はただ者ではないと思う。それでも走る機関車をダイナミックに捉える映像や、敵軍の飛行機が機関車を追跡する場面など迫力ある場面が画面に独特な活力をもたらしており不足は感じない。

加えてレジスタンス側だけでなく、美術品を列車で輸送するナチスの人間ドラマをきちんと描いているのが単なる勧善懲悪ではない深いドラマを生んでいる。敵味方の中で一番美術品の価値を理解し輸送作戦を指揮する将校に加え、部下たちのキャラクターが後半のナチスが逼迫する状況で際立ち緊迫したドラマをもたらすのも見事。

劇中の何があっても走り続ける機関車のように、引き受けた任務を黙々とこなしていく主人公バート・ランカスターの武骨さが映画に男臭さと渋みをもたらす。走っている列車に乗り込んだり、後半怪我をしながら急斜面の山を降りていくノースタントのアクションも凄い(更に他の役者のスタントを引き受けているというエピソードも)。

一番の悪人である将校を演じるポール・スコフィールドの風格ある演技と、武骨なバートのキャラクターが交錯するラストにも唸らされる。

あとジャンヌ・モローやミシェル・シモンといった豪華助演陣に華をもたせず、あくまで一般市民を演じさせるところも凄いな。
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