こたつむり

大列車作戦のこたつむりのレビュー・感想・評価

大列車作戦(1964年製作の映画)
3.5
♪ どんなに遠くへ行ったって、
  足がぺたりとくっついている。
  君の嫌いなこの土地と、
  そこだって地続きだ。

これは60年代の隠れた超大作ですね。
何しろ、機関車がドカーンと脱線したり、空爆でボカーンと爆発したり…実車を使っているからスゴイ迫力なのです。どれだけ壊せば気が済むのでしょうか。

物語としては「占領下のフランス。敗走間近のナチスドイツは接収した絵画を本国に運ぼうとするが、レジスタンスが命懸けで阻止するのだった…」という展開。

だから、根底に流れているのは“執念”なのです。表層では屈したようでも魂は売り渡さない…そんなフランス人の気概が詰まっているのです。

何よりも格好良いのが阿吽の呼吸。
誰もが“為すべきこと”を理解しているから、言葉を使わずとも連携できるわけで。それが比類なき速度を物語に与えているのです。

また、製作者が鉄道好きなのか、細部まで拘っているのは見事の一言。運転する場面は当然のこと、車両を連結する場面やレールの着脱場面など、地味に思える作業まで手を抜きません。

ただ、ぶっちゃけた話。
その“鉄ちゃん”としての拘りのほうが印象深く、物語よりも前面に出ていたのは微妙なところ。やはり“鉄ちゃん”の熱さは万国共通なのですね。

だから、綺麗な女優さんもオマケに過ぎず。
『死刑台のエレベーター』で魅せたジャンヌ・モローが出ていても、物語全体で見たら浮いていました。やはり“鉄道”は漢の世界なのでしょう。渋いなあ。

まあ、そんなわけで。
人間は脇役、主役は機関車…という物語。
ズガーンでドカーンでバッカーンですからね(語彙力…)。欧州の鉄道に興味がある向きは必見だと思います。

最後に余談として。
本作を鑑賞して『鉄道王』というソフトを思い出しました。不動産売買は出来ませんが、欧州の鉄道路線を売買して1位を目指す…というボードゲーム。あの『桃太郎電鉄』の原型かもしれません。面白かったなあ。
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