こなぱんだ

殺人の追憶のこなぱんだのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
4.0
遅ればせながら拝見……
すごい。本当にすごかった。
なんだこの映画~~~ポン・ジュノやっぱすげーーーーー!

連続殺人事件を追う話、ただただそれだけなんですけど、本当に何回も何回も誤認逮捕をしまくって、警察及び刑事というものの地位が映画において底辺かもしれないくらいに堕ちる。彼らが何か証拠を掴む度に、新たな犠牲者が増えてゆき、その犠牲者は彼らに近しい存在へとなってくるのです。こんなに、刑事がいたぶられる映画があるのか、というくらいに彼らはいたぶられる。

最初は拷問などして強気だった彼らが徹底的にいたぶられ、最終的に主人公は
犯人候補の青年に「俺はもうわからない。ちゃんとメシはくえてるか?」と言うんです。カメラ目線で。もうこのカットの感動たるや……。犯人候補の青年も、主人公も凄まじく良い芝居で、ここのシーンだけで泣ける……。
このシーンの後、青年を逃がした刑事2人は、泣いてしまうんですが、その後トンネルの中から2人を映すカット、これが外の光が眩しく、2人が影になっているこのカットがもう映画史に残るんじゃないかレベルの素晴らしさ。画面はフェードアウトしていくんですが、ここで希望の光がどんどん閉じていくっていう、本当に本当に素晴らしいカット……


ですが!この映画の一番の山場はやはりラストカットですね。女の子に犯人の顔を見たか?と聞くと、その女の子は「普通のひと」「ただ、普通の人」「どこにでもいるような顔」と言う。

そして、驚愕した主人公の顔のアップ。これで終わりです。つまり、画面に映っている主人公は「こちら」を見て驚愕するわけです。未解決事件を扱った映画として、こんなに素晴らしい映画があるか……という気にすらなる。
公開当時も犯人は捕まっていませんから、さぞやおそろしいラストでしょうね、、
というよりも、この映画が素晴らしいのはそれも込みですが2019に見てもラストカットは「いつだって私たち(=鑑賞者)が凶悪犯罪を起こす可能性」までも秘めているから、に違いない。

本当にずーっとやきもきさせられるのも面白かったし、単純にコメディ要素もあるので楽しい。そして芸術点の高さ。完璧すぎる……
長いかな、という理由で減点……ですが、長いからこそラストが効いてくるんですなあ
こなぱんだ

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