まっどまっくすこーじ

トラフィックのまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

トラフィック(2000年製作の映画)
4.1
麻薬戦争というけれど、それは麻薬を密造密売する側とそれを防ぐ側とのあいだの戦いや、縄張り争いだけではなく、麻薬が持つ魔力と人間の理性との戦いもあると思う。

簡単に考えて麻薬に手を出す人たちのなんと多いことか…
きっかけは誘われてとかが多いと思うけど、興味を煽られたり断りきれなかったり、その人たちによってそれぞれ理由があると思う。

いちばん問題なのは、麻薬を使用している人たちの大部分が、自分がいけないことをしているという自覚がないこと。
日本はまだ後ろめたさを感じている中毒者が多いと思うけど、中南米辺りではもう悪いことだなんて意識は微塵も感じられないように思う。

今作はそんな麻薬に関わる様々な人間模様を綺麗事ではなく、人間の持つ汚さを認めながら観客に放り投げてくる映画です。

ソダーバーグ監督は今作でアカデミー賞を受けてます。
ソダーバーグ監督の個性には好き嫌いがあると思いますが、私は青やセピアのフィルターをかけた映像を混ぜ混んで、どの場所での話なのかを示した印象的な撮り方が今作にとてもマッチしていると感じました。

また、同じく今作でアカデミー賞を受けたベニチオ・デル・トロの、かったるそうな演技も大好きです。
デルトロ様って、なんかそれこそ薬漬けになってうらぶれちゃったブラピみたいな感じなので好きです。

社会問題がテーマですが、ハラハラドキドキもあり、長い尺なのに一気に観られると思います。
ソダーバーグワールドに是非お越しくださいませ。