「僕は不覚にも泣いてしまったよ。泣かせるシーンがあるわけでもないのに…なぜ泣いたかって?それは、こんなにもこの映画を愛しているのが嬉しかったんだ」
1994年、ストックフォルム映画祭の審査員だったタランティーノは、初めて映画「恋する惑星」を見た感想をこう語りました。
1993年の香港は、世界で一番自由でカラフルな街でした。
道にせり出た赤と金の看板、頭上を飛び交う航空機、たむろするインド人とガラムマサラの匂い。
そして4年後に待っている返還という希望と不安。
アヘン戦争に敗れた清朝は香港島とその島々をイギリスへ割譲しました。割譲の期間は永久を意味する九十九年。
100年前には想像も出来なかった遠い未来が、93年の香港には目前にあったんです。
僕はこの映画を、毎年一度は観ています。
2組の男女のラブストーリーですが、90年代独特の空気感を知らない人には、やや退屈な映画と思うかもしれません。
きっとこの映画を好きな人は、思い出フィルターが何重にもかかっているに違いありません。
ですが、タランティーノが話したように、この映画には人を惹きつける魅力があります。
今の時代にはない、自由と愛し合う男女の高鳴りのようなものがあるんです。
90年代の記念碑的な傑作、恋する惑星はとても、とてもおススメです!!!