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さらば、わが愛 覇王別姫のKeiのレビュー・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)
4.8
僕の人生のBest of Best、中国初のパルムドール、チェン・カイコー監督の傑作映画です。

ただただ素晴らしい、そんなに作品です。

北緯39度、岩手県とほぼ同緯度の北京の冬は凍てつくように冷たいです。1918年の11月、第一世界大戦が終わりドイツは敗戦、多くの領地を失いました。
ヨーロッパで起こった大戦になぜか日本は参戦していて、戦勝国となり北京にほど近い山東省の権益を得ることになります。

日本の権益承認に反対して起こった北京の反日デモが火種となり、1921年中国共産党が結成されました。

映画「さらば我が愛、覇王別姫」は、そんな混乱の時代の中国を舞台に、二人の京劇役者の数奇な運命と友情、別離を描いています。

文革以前の京劇は日本の歌舞伎と同様、女の役を女形が演じていました。女形とは女の心を持った男の役者です。

遊女に育てらて、京劇の養成所に捨てられるように置いていかれた蝶衣。痩せ型で少女と間違えるほどの美しい容姿です。
いじめられていた蝶衣を可哀想に思った少楼は身を呈して彼を守ります。

セリフは殴られて覚える、養成所の教官の檄が飛びます。蝶衣と少楼は厳しい養成所の日々を励まし合い、支え合って過ごしました。

内戦、共産党、そして文化大革命。友情と愛情が混ざり、それが歴史の波に呑まれて消え、歳月とともに再び交わる。

1993年の映画の頂点、文句なしのパルムドール、さらば我が愛はとても良い映画です!!!
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