Ricola

情婦マノンのRicolaのレビュー・感想・評価

情婦マノン(1948年製作の映画)
3.5
「魔物」とまで言われる女、マノン。
彼女がこうもファム・ファタールとなってしまうのも、時代のせいと言っても過言ではないのだろう。

ロベールとマノンの恋模様は、まさに山あり 谷ありである。
その二人の人生が、光と闇の描写によってドラマティックに彩られている。


戦時中恋に落ちた2人は、暗い部屋の中で結ばれる。
そこでマスクフレームで懐中電灯で照らすように部分的に明るく見せることで、観客は二人の恋路に対してあまり良い予感を感じられないだろう。

さらに、彼らに転機が訪れた際に照明が暗くなるようだ。
例えば、ロベールに新たな仕事が見つかったときは、そのことを話すと停電が起こる。
そして部屋の大きな灯りからろうそくの光へと、光の比重が下がるのだ。

愛し合っているのにもかかわらず、虚栄心という闇の部分が幾度となく二人の邪魔をする。
その愛がうまくいくためには、「光」の出現が必要なのだろう。

美しくも皮肉の効いたラストのシークエンスでは、「光」は注いでいたが「闇」にまた直面することになる。
特にラストシーンの「闇」にはゾワッとした。
Ricola

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