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パッチ・アダムス トゥルー・ストーリーのTSのレビュー・感想・評価

3.9
【笑いで病を治す男】83点
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監督:トム・シャドヤック
製作国:アメリカ
ジャンル:ドラマ
収録時間:116分
興行収入:約2億200万$
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『いまを生きる』の医者バージョンと言ったところでしょうか。医者の在り方をロビン・ウィリアムズ演じるアダムスは訴えます。このアダムスは実在の人物であり、今も健在の模様。患者を笑顔にさせることにより病状を改善しようとした医者であり、著名である模様。コメディとなればロビン・ウィリアムズの出番。文句なしの役柄を演じていました。

自殺を行おうとしたアダムスは、自ら精神科の病棟に入院する。そこで、同じ部屋にいた精神障がいの患者を笑いで元気にさせたということで、彼は医者になる決意をするのだが。。

それまで医学界では、患者と仲良くすると情が移ってしまい処置に支障が出るとされていましたが、彼はその考えに疑問を抱きます。彼は外面的な処置だけでなく、患者と触れ合うことによる内面的なケアからしていくのが医者の務めであると説きました。故に彼は患者の部屋に入って滑稽な事を散々し、院長からは煙たがられるものの、患者からは大絶賛されます。しかし、彼の素行が芳しくないため、彼の優秀な成績を疑問視してくる人達も現れてきます。そして最終的には、彼の存続を巡った会議まで開かれてしまいます。その時彼が放った発言は今作屈指の名台詞だと思われました。

人は笑うことによりアドレナリンが放出され、元気になるそうです。医学のことはよくわからないですが、確かに笑うことにより気分が良くなるということは我々も感じ取ってきたはずです。そういった心のケアは昨今ではかなり重要視されていて、今や大体の病院で行われていることでしょう。もっとも、アダムスみたいに奇抜な医者は稀でしょうが。

それにしても、同職の人がこれを見たらどう思うのか興味深いところです。実は、僕は今作に対しては中々凄いなあ、感動するなあと思えたのですが、『いまを生きる』はそこまでだったんですね。恐らくこれは教師という同職だったからだと思われます。ユニークだけど少し違うなあ。と思えてしまったのです。なので、僕のように今作のアダムスのやり方に疑問を抱く同職の方も恐らくいるはずです。そのあたりは気になるところですね。もっとも、医者という職業は、患者の命を救う職業でもありますから、このようなユーモアは通じないのが普通かもしれませんが。。

免許制度のことにも触れられていました。人はいつしか、免許を持たないままとある職務を遂行することは罪だという認識を持つようになってきました。確かに免許は信頼の証であるため、一定の効果はありますが、果たして絶対的なものなのでしょうか。免許制度の是非はここでは問いませんが、面白い発言と思いました。

病院に医者、患者というシビアなシチュエーションのため、ここにユーモアを持ってくるのはナンセンスだと感じる方からすると違和感がある作品かもしれませんが、概ね良作と感じられました。
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