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女の座のdiesixxのレビュー・感想・評価

女の座(1962年製作の映画)
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女系家族を通して、日本家族の鬱陶しさをねっとり描く成瀬版『東京物語』。終盤の笠智衆、杉村春子、高峰秀子の関係性と会話はかなり『東京物語』を意識してそう。
夫と死別して娘ばかりの一家で、ささやかに店を守り、切り盛りする高峰秀子は、『乱れる』を引きずってる感じ。
一家をかき乱す宝田明の暗さを纏った軽薄さ、三橋達也の憎めない粗野、加藤大介のすけべぶり、小林桂樹の愛すべき次男坊ぶりと男性陣も冴えている。
しかし、何より本作の魅力は草笛光子。これは間違いなく彼女のベストアクトの一本。嫌味な「オールドミス」はお手のものと思うが、恋にときめき、恋に敗れ、恋に狂う情動を表情豊かに演じている。降りしきる雨の影が映る壁をバックにした横顔の美しさよ。
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