よーだ育休準備中

クリムゾン・リバーのよーだ育休準備中のレビュー・感想・評価

クリムゾン・リバー(2000年製作の映画)
3.0
アルプス山麓の街・ゲルノンで猟奇殺人事件が発生。パリ市警から元特殊捜査部隊のNiemans(Jean Reno)が派遣される。時を同じくして発生した墓荒らしの捜査にあたるMax(Vincent Cassel)。二つの事件が交錯する時、閉鎖的な街に隠された常軌を逸した習慣が明らかになる。

《仏のStephen King》の異名を取る小説家・Jean-Christphe Grangeの同名小説を映像化。


◆ミステリよりも雰囲気重視!

雪山の麓に位置する閑散とした村の様子。要塞然とした大学のキャンパス。白銀のアルプス。雰囲気は物凄く良い。空気がめちゃくちゃ綺麗そうなのに全体的に垂れ込める重苦しい空気とのギャップがまた良い。

そこで見つかる無惨な死体。全裸で両手両眼が欠損し、胎児を思わせるポーズで見つかるという衝撃。

更に追い討ちをかけるのがゲルノン大学の理事を頂点とした《ムラ社会》。教授職(知識階級)が《近親婚》を繰り返した事による《劣勢遺伝》。《世襲制》に基づく非人道的な《風習》と《ナチス》的思想というパワーワードの応酬でインパクトはばっちり。


事件を淡々と追っていくテンポはいいし、大学教授陣の思惑の絡め方も上手い。けれども大掛かりな因習と比べて犯人の動機はこじんまりしている印象。(というか、最後駆け足過ぎてついていけない。)


ラストは迫力のある映像で〆。Nadia Faresの豹変した演技と全てを飲み込む雪崩をドバーッと。クライマックスを盛り上げたかったのはわかりますが、「細けぇこたぁいいんだよ!」と犯人の犯行同期やトリックごと押し流されてしまったようで消化不良。

Niemansが《犬恐怖症》という設定も、果たして必要だったのか疑問が残る。かなり意味深な見せ方だったと思うけど、なんの伏線でもなく、説明もなく流されてしまった。深読みのしすぎ?原作ファンへのサービスカットだったのかな?