くぅー

日本の黒い夏 冤罪のくぅーのレビュー・感想・評価

日本の黒い夏 冤罪(2000年製作の映画)
3.9
今は亡き熊井啓監督が、1994年のいわゆる[松本サリン事件]にスポットを当てた作品・・・一歩引いて、社会派エンタメではなく教材的なアプローチで問題提起してるあたりは、一見の価値がありかも。

展開としては、ドキュメンタリーを作る高校生達が、とある新聞社に当時の内情を取材するというスタイルで・・・演出は時折ぎこちなく見えたりするのだが、マスコミの報道の在り方と同時に、警察の捜査方法を分かり易く浮き彫りにさせてることは確か。

不覚にも自分も当時の報道を鵜呑みにしてた記憶があるので、複雑な気持ちの鑑賞になりましたね。
正しい事を伝えるべきマスコミだが、競争意識と数字優先にこだわる別の顔があり・・・メンツ優先のために間違いは簡単には認められない、正義の警察の裏の顔。
そんな両者を盲目的に信じる傾向にある我々・・・このトライアングルが冤罪を生むとも言える。

"限りなく白に近い灰色"・・・白にならない理由は虚しい。

キャストでは、寺尾聰に中井貴一に、石橋蓮司らのベテランで実力派の俳優陣が、きっちり作品を引き締めてます。
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