爆裂BOX

機械じかけの小児病棟の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

機械じかけの小児病棟(2005年製作の映画)
4.3
B級ホラー丸出しの邦題ですが(内容ともあってない感じだし)秀作スペインホラーです。監督は「REC」シリーズでおなじみジャウマ・バラゲロ監督作品です。
老朽化で閉鎖間近ながら近くで起きた大規模な鉄道事故の負傷者で店員予定の病院が満杯になり閉鎖が延期されたイギリスのワイト島にあるマーシー・フォールズ小児病棟。ここに臨時で雇われた夜勤看護師エイミーは、子供達と打ち解けようとするものの子供達は何かに怯えており、親しくなった難病を患う少女マギーからシャーロットという霊の存在を聞き、更に病院内で次々説明不可能な現象に襲われ、医師の力を借りながら謎を突き止めようとするという物語です。
洋画ホラーですがジャンプスケア多用するようなホラーではなく、ジワジワと怖さが迫ってくる日本の怪談映画に近い怖さがあります。
主人公エイミーを演じる「アリー my Love」のキャリスタ・フロックハートも不注意から医療ミスで子供を死なせた過去を背負いながら、今度こそ子供を救おうと、中々周囲の理解や信頼えられない中怪現象に挑んでいく姿を好演していました。
あまた、主人公と心を通わせる難病の少女マギーを始めとした子供達も見事な名演技披露してたと思います。怪現象に怯える姿だけではなく、アニメ映画に見入って楽しんでる姿も凄くリアルに感じられました。過去に入院していた重要な存在となる患者の少女役で「パンズ・ラビリンス」のイバナ・バゲロが出ていますが、少しの出演ながら確り存在感残す所は流石。
中盤まではゆっくりした展開ですが、エイミーが続発する怪現象の謎を何とかロバート医師の協力を取り付けてカルテなど断片的に得られる情報からシャーロットの正体と目的が明らかになっていく展開もサスペンスフルでゾクゾクさせますね。少女の正体を突き止めた、と思わせてからのどんでん返しも楽しかったですね。「あの子」というのがミスリードになってたんだな。
終盤でシャーロットの悪霊が転院させようとする動きを阻止しようと子供達を骨折させたり、病院の壁や床にひび割れを起こし崩壊させようとするパニック描写もあって怒涛の盛り上がりを見せます。
クライマックスで登場する悪霊シャーロットは「REC」のメディロスを彷彿させました。特に怖いメイク施してるわけじゃないんだけど、釣りあがった目とかが妙にリアルな怖さ感じさせてくれます。足の補助具も痛々しさ感じさせます。死期の近い人間にはその姿が見えるという設定も面白い。半分あの世に足を踏み入れてるからか。看護師のマットは重傷だけど死ななかったのは姿が見えたんじゃなく気配に怯えてたってことかな。
ゴア描写は殆どないですが、腕や足の骨がボキッ!と折れるシーンは痛々しさに満ちてますね。過去のフィルムに記録された手術シーンは結構グロかった。
少女だけでなく主人公も死んで終わりかと思いきや、そこでお伽話「眠れる森の美女」の王子様のキスの伏線が活かされる所も「おお・・」と感心しました。
死んで終わりではなく姿は見えなくても死者は身近にいて静かに見守ってくれているという、ラストの救いもいいですね。
このタイトルから受ける印象に反してしっかり作られて怖さと切なさもあるスパニッシュホラーの秀作です。