うにたべたい

変身忍者 嵐 怪奇!死人ふくろう!!のうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.1
初代仮面ライダーと同時期に放映された特撮時代劇・変身忍者嵐の劇場版。
変身忍者嵐は仮面ライダーのヒットを受けて製作された作品で、原作者は仮面ライダーと同じ石森章太郎氏です。
また、その他、制作陣も仮面ライダーと同じという、『時代劇版仮面ライダー』ですね。
敵である忍者集団・血車党の化身忍者と同じ秘術によって変身し、嵐に変身するハヤテ自体も、元々血車党だったという経緯があります。
敵と同じ能力で変身する典型的石ノ森ヒーローで、変身の秘術を編み出した父の過ちの償いのため、血車党に立ち向かうストーリーです。

劇場版の本作は、『仮面ライダー対じごく大使』と同時上映の東映まんがまつり作品で、第6話、死人フクロウ回のブローアップ版となっています。
変身忍者嵐は度々テコ入れが入り、西洋妖怪編に入ったり、謎の剣士・月の輪が登場し共闘したりします。
6話は作品の序盤であり、テコ入れ前のストーリーのため、"変身忍者嵐はこういう話" というのをまず見てみるには良いと思います。
ただ、個人的には、変身忍者嵐はテコ入れが入りまくった終盤の方が好みなんですよね。
序盤は作りが雑でテンポが悪く、話も飛びまくっててよく分からなくなり、見ていて眠くなってしまうというのが正直なところです。
本作中も、音波を武器にする死人フクロウを相手に、「音は音で跳ね返せる」というそれっぽいヒントが唐突に登場するのですが、結局、おなじみ必殺剣・秘剣影うつしで音波を跳ね返したというトンデモ理論で勝ってしまうのもなんだかなあと思いました。
このヒントは必要あったのか。

死人フクロウは死体からパーツを集めて作られたというおぞましい設定で、血液で人々を狂死させる死人血液が流れています。
死人フクロウの血液による被害者たちの寺で、なぜか症状がでない小坊主のミステリー要素に、死人フクロウの正体がハヤテの身近な人間だったというドラマもあり、30分枠と思えないほど詰め込まれている感じがあります。
なので、丁寧に作れば名作となった気がするのですが、話が飛びすぎてよくわからないまま終わった感じがあるのが残念です。
変身忍者嵐のデザインはすごく洗礼されていて、現在でもそのまま通じる秀逸さなのですが、序盤は割りと退屈でおすすめはできないですね。