グレハニスト森田

ロッキー・ザ・ファイナルのグレハニスト森田のレビュー・感想・評価

ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)
4.0
続編が出るたびに娯楽性が肥大化した反動により、観客もロッキー自身も「最後のドラマ」で消化しきれなかった”何か”を追求した一本。
あまり評判の宜しくない「最後のドラマ」を失敗だったとは思わないが、やはりストリートファイトという異例のマッチで終わってしまったロッキーを”リングで終わらせる”方向で再構成した感じ。

仮に初代から本作へ飛ばして観ても違和感がない程度には、初代の精神性が色濃く反映されているように感じる。
くたびれたフィラデルフィアの街をバックに「TakeYouBack」から始まるイントロは分かっているとしか言いようがない。

思えば全てのナンバリングにおいて精神的に脆いロッキーは常に誰かしらが寄り添い奮い立って試合に望んだわけだが、エイドリアン亡き本作では初めて自らを奮い立たせ試合に望んでいるという点も実にドラマチック。
セコンドにはJr、相変わらずのポーリー、そしてデュークの姿がありこれだけでも集大成的な価値はある。
初代でリトルマリーとのシークエンスはカット候補だったそうだが、まさか30年近く経って再登場するとは思いもよらなかったろうに。笑

ロッキーらしくベタな起承転結だが、存分に楽しめる。
唯一の文句は邦題くらいか。
原題「ロッキー・バルボア」、最高じゃないか。