グレハニスト森田

ベスト・キッドのグレハニスト森田のレビュー・感想・評価

ベスト・キッド(2010年製作の映画)
4.0
子供版「ロッキー」の決定版。
なんとジャッキー・チェンまで起用したおっさんホイホイの名配役だが、逆説的に爆死臭がプンプンしてしまう罠。
果たしてその出来や如何に。

オリジナル版はまさに「ロッキー」のアヴィドルセンが監督したカラテキッド。
よくネタにされているが本作はカンフーにジャンル替えされているので原題にすでに矛盾が生じている。笑

オリジナル版より年齢層を下げ、アクションと明快な演出にレシオを振っているのは賛否が分かれるが、個人的にはとても良い出来だった思う。
オリジナル版で最大の課題は試合シーンの凡庸さであったが、演出技術の向上も相まって(ファンタジーの領域ではあるが)白熱した試合展開を堪能できる。
ラストに蛇拳を使用する少年漫画よろしく演出もグッド。

最大の見どころはなんといってもジャッキーが指導者の立場になったという点に尽きる。
少年グループに対する殺陣はこの作品の見せ場の一つだが、(演出として)明確に息が上がっておりジャッキーの老いを感じさせる名シーン。
往年の成龍作品見てきたならここは泣けるポイントだと思うんだがなぁ。
ゴールデン・ハーベスト時代からの数多のアクション映画の主演として活躍してきた彼の一つの終着点としてこの映画を見ると実に感慨深い。

アヴィドルセンの「ベスト・キッド」も出来はいいが、決勝後の「君はサイコーだ」みたいなセリフがあまりにも気に食わずちょっと苦手にしていたのだが、この作品ではいい具合に昇華しておりここも好印象。
ここぞというところでは人間は”何も言わない”、と古畑任三郎で加藤治子が言ってたし。

思ったよりも大分できが良くて満足。