ぼくたちの生きる世界は、どうしてこうも難しいんだろう。
やりたいこともやれず、やれと言われたことをこなしていくだけ。
ぼくたちは大人の言いなりとして生きるしかないんだろうか。そんなのは嫌だ。ぼくたちで、自分の生きる道は決めたい。
そうだ、こんな哀れなぼくたちでも大人に刃向かえるって示したいんだ。
-----------------------------------------------------
若者の愛を主軸にした、アメリカン・ニューシネマです。
ダスティン・ホフマン演じるベンが、群れとはぐれた渡り鳥みたいに危なげない。20歳になるまではずーっと優秀な親の敷いてくれたレールの上を走る電車に乗せられていただけ、というのがよくわかる序盤のひよっこ感。1歩外へ踏み出しただけで多くの選択肢が襲ってくるし、何かを選択するということができないでいる。社会に出たことに対する戸惑いが、若くて青い青年らしいです。
一度何かを選んでしまえば、もう大人になった気になって物事の境界がわからなくなる。
反抗できた時は嬉しいけどその後どうすればいいか、大人の助力なしで生きていけるのか不安に思うところも、実に年齢の高い若者らしい。
そういう、社会や環境、大人への不満を丁寧に描いた作品です。
尊くて愚かな若者に向けた、愛の物語。