あっさりゆで卵

貞子3Dのあっさりゆで卵のレビュー・感想・評価

貞子3D(2012年製作の映画)
1.8
『リング』シリーズというより、貞子シリーズの第5弾。

「”S”の復活」と銘打ち銀幕に貞子が帰って来ると。
本作の目玉は、タイトルからも分かるように3Dということ。
まあ確かに、テレビから出てくる貞子が”本当”に画面から出てくるという、これは必然的な流れだと思いますし、面白くないわけはない!(前回も今回も2Dで見たので全く体験できてない)

はずが、という。

まず、本作の監督って英勉なんですね。前に観た時は何も考えずに見ていたので気が付きませんでした。『賭ケグルイ』での良い意味で軽い作風は、個人的には好きなのですが、今回は悪い方向に働いてるなあという印象でした。

前半は『リング』を現代版に描きなおすという流れなのですが、軽すぎて緊張感も何もない恐怖表現、3Dで驚かす事にしか意識が向いてないので、いくらJホラーをやろうとしても全く上手くいっていないです。

作品自体、原作同様『らせん』から繋がるとは言っていますが、改変しまくっている為、同じ名前のキャラクターが出てくるってだけで、正直何も関係ないです。
呪いの動画も何それって感じで、それならあの呪いのビデオの映像が動画としてアップされている方がまだいいのでは。というか見てないのに死んでる奴いなかったか?
そもそも『らせん』のあのオチから行けば、貞子の復活という事自体がよく分からないし、紋切り型のサイコパスキャラも結局何がしたいのか分からない。あと、意味ありげなだけのセリフを残して何もしないあの妙齢の女性は何なんだ。

作中の「なんだか作り物みたいですね」という田山涼成演じる刑事のセリフは、この作品に対する自己批判か?と思うほど、『リング』にあった実存感が全くないです。フィクションラインがガバガバ。

貞子の新シリーズだと思う方がまだ良いです。
前半は石原さとみの可愛さでは補いきれない酷さです。

不満たらたらですが、後半の巨大エキシビジョンから出てくる巨大貞子、バッタ型貞子モンスターなどモンスターパニックものに振り切った感じはまだ楽しめました。あ、今作の石原さとみは超音波攻撃が可能なので、その特性を生かして大量の貞子モンスターを蹴散らすシーンは最高ですよ!

と『リング』大好きマンな自分としては不満の多い作品でしたが、超音波を発する石原さとみの活躍がみれるのでおススメです!