『ゲゲゲの鬼太郎』アニメ第6期の前日譚。
今回の主人公は、若かりし頃の鬼太郎の父。そしてもう1人の父・水木。
アニメで描かれた親父の若い頃の見た目はイケメンなのに、映画では水木的なキャラデザにらなっている矛盾に関しては、あのイケメン親父は枕返しの夢の世界で化現した美化された姿、という事で納得させている。
というかそこも瑣末なことに感じるくらいには出来が良かった。
ストーリーとしては、横溝の「金田一シリーズ」のような民俗学的因習ミステリーな仕上がりで、それもなかなかエグい描写が容赦なく描かれる。
正直なところ、水木しげるらしさはないけれど、原作の核になる要素はしっかりと抑えて作られており、人間の愚かさや醜悪さを描いてきた6期のエピソード0としては見事だった。
近年のヴィランの中でもトップクラスでクソ野郎がここにいた。
歴代一クールで、人にも興味がなさそうな鬼太郎が、何故人を助けるのか。人の醜さを知りながら何故人と関わるのをやめないのか。その回答がこの映画にはあった。
個人的に『墓場鬼太郎』の話が無いことになるのではないかと心配していたが、それも杞憂に終わり、『ドクター・スリープ』よろしく原作とアニメの架け橋的な作品に仕上がっていた。
物語ラストからあのエンドロールに繋げるかー！！
なんなら、ここが1番良かった。
鑑賞後、帰路に着く途中に特典のポストカード開けたのだが、ずるくない？？？泣いちゃうよ。
映画自体かなりヒットしてる様なので、ぜひ6期世界での『墓場鬼太郎』を作ってもらいたい。水木プロさん、東映さん、いかがでしょうか！
