わたふぁ

ブロークバック・マウンテンのわたふぁのレビュー・感想・評価

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いちばん好きな純愛映画。いままでもこれからも不動の、孤高の存在だと思う。
ヒースの作品はどうしても感傷的になるから、あんまり見ない。ダークナイトとか特に泣けてきてダメだし。だけどこの作品だけは何度も見てる。

苦労人で寡黙で不器用で、あんまり笑わないイニス(H.レジャー)と。反対に、笑顔がすてきで、ロデオや投げ縄が得意な明るい性格のジャック(J.ギレンホール)。2人はワイオミングの山の上で羊飼いの仕事をする季節労働者。日夜を共にしているうちに、お互いを求め合うように...。

情熱的という表現を越えて動物的に惹かれ合う2人。そこに言葉などない。うらやましいくらいに愛し合っている。
異性でも同性でも、2人の人間がいて「いま同じ気持ちでいるね」と同じ分量で同じ熱量で確信できる瞬間ってそう多くないと思う。それは奇跡のように素敵なことだと思うから、イニスとジャックの恋に恋してしまうところがある。

初々しいジェイクはもちろんだけど、ヒースとミシェル、本物の夫婦による芝居対決がやっぱり素晴らしい。夫婦喧嘩のシーンの煮えたぎるグツグツ感、互いに遠慮がなくてとても良い。ラブシーンも然り。

LGBTの虹色のプライドフラッグが翻る現代とは異なる、同性愛が軽蔑視されていた60年代アメリカのお話。