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エド・ウッドのGreenTのレビュー・感想・評価

エド・ウッド(1994年製作の映画)
2.5
エドワード・D・ウッドは、1950年代にハリウッドに実在した映画監督なのですが、私は知らずに観ていたので、何がなんだかわかりませんでした。

エド・ウッド(ジョニー・デップ)は、30歳にもなって芽が出ない映画監督。仲間たちと舞台演劇を制作するも、批評家からはけちょんけちょんに言われる。27歳にして大成したオーソン・ウェルズに憧れるエドは焦りを募らせる。

オープニングの白黒画面や音楽、安っぽいUFOなどの雰囲気がすごい良くて「面白そう!」と思いました。エド・ウッドのガールフレンド、ドロリスを演じるのがサラ・ジェシカ・パーカーだったのにも「おお〜普通の映画出てる!」とか思って。

エドはハリウッドの街をフラフラ歩いていると、ドラキュラを演じた往年のスター、ベラ・ルゴシに出逢う。今や仕事もなく、失業手当てで暮らしているルゴシを、エドは自分の映画に配役しようとする。

んでこっからは、エドが映画を作ろうとして資金切れになったり、ありとあらゆる問題が起こるドタバタ劇なんだけど、実話の方を知らないので、何を見せられているのかピンと来ず、時々寝落ちしてしまいました。

ジョニー・デップは、この役すごい評価されているけど、私には良さがわからなかったなあ。『ツーリスト』の面白くないコメディとあまり変わらなかった。

良かったのは「トランスジェンダーになりたいゲイ」を演じるビル・マーレイ!『トッツィー』の時のあのすっとぼけた感じに近い演技で、これが彼の本領!と思わせる。

これってティム・バートンのパッション・プロジェクトなのかと思ったら、そうじゃないのね。でも監督引き受けたときに「すっごいB級映画を作っているのに、自分では『市民ケーン』を作っていると思っているその楽観的なところが可笑しい」と思ったと言ってて、ああ、そういう楽しみ方なのか、と思った。

私は「ハリウッドの底辺にはこういう人がたくさんいるんだろうなあ」って思いながら観ていた。あと、「プロの映画監督になる大変さ」が描かれているなって思った。

例えば、やっぱり資金を出してくれる人を探すのが一番大変で、精肉工場の経営者に投資をお願いすると「自分の息子を出演させることと、最後に大爆発を持ってくること」を条件にされる。

これって、ここまで極端じゃなくてもあるよね。スタジオに「女優はこの娘じゃなきゃダメ」って言われたりとか。

あと、タイトルを勝手に変えられたりとか、あ、そうそう、エドは女装癖があって、女装すると気分が落ち着くので女装で監督していると、スタジオの偉いさんにそれを文句言われたりする。

で、最後オーソン・ウェルズと出逢って「人のヴィジョンのために映画を撮るんじゃない。自分のヴィジョンを貫け」と言われて「やっぱそこだよね」ってことになるんだけど、いや〜、それってすっごい大変そう。

私はやっぱ、製作者側の「ヴィジョン」がある映画に感動するし、そういうのが本物の映画だって思うけど、上記したような色んな勢力と戦わないとそれができない状況なんだとしたら、相当精神強くないとね〜。

この役を受けたジョニデは「当時ちょうど映画制作に幻滅していた頃だった」そうで、業界の人ってドラッグやアルコール中毒になる人多いけど、自由に制作活動ができないことにストレスが溜まるのかなあって思った。

劇中に出てくる、窓がない、昼間っから真っ暗で酒飲めるバーが出てくるんだけど、「ハリウッドで一番古いバー」だったかな?とかって壁に書いてあった。そこでエド・ウッドがオーソン・ウェルズに逢うんだけど、みんなああいうところで飲んだくれるんだろうなあと思った。
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