えいがうるふ

蛇イチゴのえいがうるふのレビュー・感想・評価

蛇イチゴ(2003年製作の映画)
3.9
何ともやりきれない話ではある。
両親役の二人のベテランならではの役柄に馴染みすぎた名演もさることながら、どクズ長男役の宮迫は演技どころかいっそ素なのかと思えるほど役柄がキャラにハマりすぎで、人として嫌悪感を覚えるほど。笑いたいのに笑えない。 

客観的に見て一番悲惨な立場は娘だと思ったが、妙にドライというか情緒を感じさせない女性に描かれているため、あまり共感を持ちにくいのが逆に救いになっている。教員やってる同僚の彼氏も、イケメンでもなくいいとこのぼんぼんらしさも皆無でフラレても全然惜しくないと思えてしまう、そのなんとも言えない残念加減が設定が絶妙といえなくもない。(ただし、つみきみほがいちいち棒読みなのはそういう役作りなのか単に演技力の問題なのか微妙な感じ)
でも、幼い頃からこんな家族の中で一人で「いい子」を演じて頑張ってきた彼女が、大人になってもその優等生役を降りられず、理不尽な仕打ちを受けても感情を表に出さず淡々と対応していくキャラを確立してしまった道筋には個人的にやたら共感してしまった。そのうえ、健気にその役割を全うしたところで結局親にとっては手のかかる子供の方が可愛かったりするんだよな・・・はあ、切ない。

実際の救いはないが、ラストシーンの余韻は悪くない。心だけはちょっと救われる。