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浮き雲のgenarowlandsのネタバレレビュー・内容・結末

浮き雲(1996年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

倹しく生活を送っている夫婦にも容赦なく不況の波が押し寄せます。

夫は路面電車の運転士。誇りをもって働いていました。
妻は老舗レストランのホール長。オーナーからの信頼も厚く、従業員から慕われていました。
電鉄会社は人員削減、レストランは倒産。

職安でも仕事を探すことができませんでした。ブラックな店に引っ掛かったり、健康診断で弾かれたり、元同僚たちも路頭に迷い、アル中になる人もいました。

そうだ、自分たちでお店を始めようと、車を売り、家財道具を売り、元手をつくり、銀行に掛け合いますが、信用されません。

妻のやる気を元オーナーが見込んで、投資してくれます。元同僚たちを集め、新しいお店を開店させますが。

これ、コメディのジャンルらしいのです。なんでかなあと思ったら、ああ皆どん底にいても無表情なんです。淡々と物語は進み、確かに動きがコミカル。エピソードはシリアスなんですけど。

同じ役者ばかりで、それも劇団っぽいなと感じます。

全編通して、日常やエピソードを丁寧に描いていて、無表情なのに心細やかな感情を読み取れます。面白い演出だと思いました。

この世界の住人になりたい。
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