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ショコラのhirogonのレビュー・感想・評価

ショコラ(2000年製作の映画)
3.9
おとぎ話風のファンタジーですが、ストーリーとしてはヒューマンドラマが主体です。

フランスの田舎の村に、母ヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)と娘アヌークの親子がやって来てショコラショップを開きます。
田舎の村ですから、カトリック教会を中心とした伝統的価値観が支配していて、よそ者に対しては少し閉鎖的な面もあります。

ヴィアンヌの”教会には行かない”という行動が、村長をはじめ一部の村人には反発を招き、良からぬ噂も流れます。
しかし、ヴィアンヌのつくるショコラは徐々に受け入れられ、村人たちの価値観にも影響を与えていきます。

ショコラショップの大家さんアマンド(ジュディ・デンチ)とその娘カロリーヌ(キャリー・アン・モス)とはうまくいっておらず、孫ルークとも自由に会いにくい状態です。
また、夫の暴力を受けたジョゼフィーヌがヴィアンヌの所へ助けを求めてきて、店を手伝うようになります。
そこへ、船を住処とするルー(ジョニー・デップ)のグループが川に沿ってやって来て、村にしばらく逗留してヴィアンヌらと交流を持つようになります。
村長レノ伯爵(アルフレッド・モリーナ)の夫婦関係に上記のような状況も絡んで大きな事件が発生します。そして、ヴィアンヌは村を去ろうとするのですが…。

伝統的価値観と新しい価値観の葛藤と人間模様が、この作品のテーマです。
ヴィアンヌの行動が、村に新しい価値観を吹き込んでいく様子が丁寧に描かれていて、共感しながら物語に集中できます。
ラストもハッピーエンドで、後味のよい作品です。
ジュリエット・ビノシュが少しミステリアスな部分のあるヴィアンヌを魅力的に演じています。精悍な印象のジョニー・デップもいい感じです。
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