せーや

赤い影のせーやのレビュー・感想・評価

赤い影(1973年製作の映画)
3.6
娘を不慮の事故で無くしたジョンとローラ。
二人は仕事で水の都ベニスへ来た二人は
「娘が見える」という盲目の女性と出会う。

オカルトホラーでありサスペンスであり
ミステリーであり、そして悲しい作品。

水の都ベニスで見る亡き娘の影。
謎の霊媒師によって翻弄される夫婦。

子供を持つ身ではないので
なかなか共感し難いところもありますが
親であれば、亡くした子供を忘れることはできないでしょう。

どんなに忘れようとしても、
良い意味でも、悪い意味でも
永遠に頭の中に居続ける。

霊媒師によって娘の影を追い続けることになってしまう二人。
霊媒師を信じる妻ローラと、その身を案じる夫ジョン。

物語はジョンの目線で描かれている。
しかし時折現れるフラッシュバック。
時折現れる幻想のような風景。
そして彼に起きる不思議な現象。

ラストに向かうにつれて段々と真実が見えてくる。
それはとても悲しくて、衝撃だった。
すべてのシーンが、ラストのショックのための伏線のようだった。

とにかく不気味な演出です。
不快な音楽に、鮮烈な赤い色。
出演者すべてに陰があり、観る者を惑わせる。

そして美しいはずのベニスが陰鬱な表情を見せる。
水の事故で娘を失ったことで
水の都ベニスは古傷を痛ませる地に変わってしまった。

大切な人を失った傷は決して癒えることなく
いつまでもその影は付きまとう。
そしてその影が、凶器となって襲いかかる。

見たままを信じてはいけない。

濃厚すぎるセックスが議論を呼んだそうです。
せーや

せーや