すずき

ヘラクレスのすずきのレビュー・感想・評価

ヘラクレス(1997年製作の映画)
3.6
神々の住まうオリュンポスで新たに生まれたゼウスの息子、ヘラクレス。
彼はオリュンポスを狙う冥界の王ハデスの手によって、神の力を奪われ地上に捨てられ、人間に拾われて育てられる。
彼の中に残った神の力は僅かとはと言えど、人間には規格外のもの。
彼はその力を制御できず、街の人には疎まれていた。
彼が青年になったある日、ゼウス神殿にて自分の出生を知る。
再び彼がオリュンポスに戻るには、英雄となる事が条件だった。
かくして彼は真のヒーローになる為、まずは数々の英雄を鍛えたサテュロス(半身半獣)、フィルの元へと向かう…

ディズニー長編アニメーション第35作。
面白かったんだけど、良い所と悪い所がハッキリと別れた作品。

良い所は、まずはストーリー。
王道のヒーロー誕生秘話で、トレーナーのフィルとのスポ根めいた関係も良い。
ヒーローが悪の企みに屈し、ピンチになるけどそこで愛と正義の心を燃え上がらせ、覚醒する展開は燃える。
こーゆー分かりやすいストーリーは好きなので加点対象です。

あと音楽も良かった。担当はやはりアラン・メンケン。
今作は紀元前のギリシアが舞台だけど、進行役のミューズ達が歌うのは、何故か現代的なノリのいいソウルミュージック!
前作「ノートルダムの鐘」からガラリと変わったミュージカル演出だ。

悪かったのは、まず絵。
キャラデザがカートゥーン調し過ぎてるのは何か残念。
怪物ヒドラの3DCGの出来も今ひとつ。
アクションシーンの動きもイマイチだ。
やはり戦闘シーンの「殺陣」が良くないなぁ。これはアニメに関わらず、この時代のアメリカ映画全般に言える事だけど。

あとメイン声優にタレント起用が多い!
ヒロインのメグは危険な女っぽい所が、工藤静香の声には合ってた。
ハデスは頑張ってる中々悪くないけど、こーゆーアニメチックでトリッキーなキャラクターは本職声優の方が上手くハマるんだろーなー…。
それからヘラクレスは思ったほどは悪くないが、やはりジャニーズアイドルに声優をやらせるのは残念と思える出来。
サブキャラのフィルは永井一郎だったり、
モブや端役に結構有名声優が多いのがウケる。

しかし、原典のギリシア神話とは全く違う、キャラクター名だけ借りただけ、みたいな設定が多かった。日本の漫画・ゲームもそうだけど。
ゼウスが凄く良い人で、妻ヘラと家庭円満で、ヘラクレスがヘラの息子なのは違和感バリバリ。
原点ではレイプ魔だったよね、ゼウスさん。
「ファンタジア」登場時の、昼寝の合間の暇潰しに地上に雷を投げまくる側迷惑な神、という描き方の方がイメージに合ってる。