半兵衛

紅の流れ星の半兵衛のレビュー・感想・評価

紅の流れ星(1967年製作の映画)
3.5
もう二度と帰れない東京への郷愁を回数券の切符とともに胸に秘め、神戸で気だるくその日その日を生きる渡哲也の甘えん坊だけどキザで格好いい生態がこの映画の最大の魅力。本作の主人公のようなアンニュイさと饒舌さと凶暴性と幼児性を同時に出せる俳優は渡哲也を置いて他にないと断言できる。

渡を付け狙う後年のアウトローキャラを彷彿とさせるキザな刑事・藤竜也や日常に退屈しているヒロイン・浅丘ルリ子、渡と付き合っている松尾嘉代、渡を付け狙うヒットマン・宍戸錠など脇も魅力的で、どうしようもなくなってしまったアウトローの乾いたドラマを盛り上げる。

でもこの映画で一番好きなのは決まりに決まった『勝手にしやがれ』風のラストではなくて中盤浅丘ルリ子を引き連れて神戸を彷徨うとき榎木兵衛や石井富子としょうもない話をして盛り上がるシーンで、俳優のリアクションも最高。
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