チッコーネ

風たちの午後のチッコーネのレビュー・感想・評価

風たちの午後(1980年製作の映画)
4.0
ATGなど、過去の国内アート映画に通じる作風だが、物語を紡ぐことを拒否してはおらず、親しみやすさも充分。
女性2人が暮らす1Kアパートの内観、食事、そして洗濯など、当たり前の日常風景が丁寧に切り取られていく。

関係の破綻後、内職とストーキングで1日を構成する明菜カットなヒロインの、本能的な表情を捉えようとする撮影は『アデル、ブルーは熱い色』を想起させた。
アブテラティフ・ケシシュ監督は、案外本作を観ていたのかも。
哀しく切なく、そして破滅的な片恋の瑞々しさが印象に残る。