ぐるぐるシュルツ

風たちの午後のぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

風たちの午後(1980年製作の映画)
3.6
誰にも見られない昼下がり
ぐったり寝転がり
あなたを目で追っていたり

〜〜〜

約40年前に撮られて、音楽等の権利関係で長らく封をされていた作品。
(ちなみに、台詞は
最近アフレコした場所もあるらしい)
主人公の夏子は、同棲する美津に想いを寄せる。


当時のお昼下がりの
あまりにも生活感を含ませた街並みは、
まだ20そこらの僕には、少しだけ、
奇妙に輝いてみえます。
光が満ちていても、
どこか取り残されたような、
突き放されたような、あの感覚。
生きていない時代なのに
強烈に懐かしい。

それに、みんなが
床にべったり座わりこんでいるのも、
なんだか新鮮。
低いところで、ゴロンと横になって、
天井を眺める。
それから、ぽつりと、
君に聞こえるだけの音量で話す。
でも、一人でいる時の夏子の
物憂げな表情は、
誰の目にも届かない。



つい最近、同棲するレズビアンを描く
“Almost Adult”を見たばかり。
時代・文化の差が恐ろしいほど。
この作品が持つ、この湿度は、
もうきっと描かれることはないだろう。

雨の中のふたり、死んだ鳥、
浜辺のあなた、ばらの花。