松田優作VS舘ひろし。校内暴力と理事長たちの汚職を題材に、一介の教師の怒りを描く。
『暴力教室』のタイトルの通り、今作はどぎつい。転任してきた体育教師・溝口(松田優作)は妹・淳子(山本由香利)を不良グループのリーダー・喜多条(舘ひろし)にレイプされる。さらに自分を頼る女教師・花房悦子(安西マリア)も理事長(名和宏)配下の生徒会長(南条弘二)たちにレイプされる。バイオレンスが主人公を追い上げていくのだ。
不良グループの暴力や理事長たちの不正に耐えに耐えた溝口がついに怒りを爆発させ、喜多条を、理事長を思う存分殴りまくるアクションは、まるで当時暴力事件で謹慎していた松田優作自身の鬱憤を晴らすかのごとく迫力満点だ。
だが、クライマックスで、溝口と喜多条ら不良グループは協力しあう形で、汚職を行なう理事長、校長、生徒会長、その配下の体育会系グループを叩きのめし、奇妙な絆が芽生えても、観ていてモヤモヤする。喜多条が生徒会長に「テメーどこまで汚ねえ根性してんだ!」と叫んでも、自分もさんざん悪さを繰り返し、淳子を以前レイプしているので全く説得力はない。
しかし、当時のギラギラした松田優作と舘ひろしは、東映の不良性感度に見事に一致し、低予算のプログラムピクチャーを見応えのある学園バイオレンスに昇華させたと言えよう。決してお薦めしないが、優作と舘の熱演を評価して3.7。