気がつけばあのメロディの口笛を吹いている自分にドキッとする。
子どもたちが歌う遊び歌の歌詞がドイツ語の響きと共鳴して序盤から凄く不気味。そして口笛のメロディとともに事件がまた起きる…。
無邪気に遊んでいる最中の子どもが被害者だと想像させる間接的な描写が、母親の願いも虚しく絶望的なのが印象的。
タイトル“M”が印籠のようにクローズアップされるまでの経緯に痺れたし、とにもかくにも殺人犯を演じるピーター・ローレのジワジワと衝動に駆られるあの怪演はただただ戦慄の一言に尽きる。夢に出てきそう…
ただの犯人探しだけで終わらず、風向きが変わる終盤の集団心理の恐ろしさに肝を冷やされるクールな作品だった。