こなつ

ONCE ダブリンの街角でのこなつのレビュー・感想・評価

ONCE ダブリンの街角で(2007年製作の映画)
4.0
ジャケ写とダブリンという街に惹かれ、前から気になっていた作品。ジョン・カーニーの音楽映画3部作の1作目だったと今回初めて知った。「はじまりのうた」も「シング・ストリート 未来へのうた」も、劇場で鑑賞していて思い出に残る作品だ。

音楽映画の名匠と言われているジョン・カーニーは、アイリッシュ・ロックバンド「ザ・フレイムス」で3年間ベースを担当して、映画の世界に足を踏み入れた。音楽家としての挫折が、彼にこのような心に響く作品を生み出させているのかは分からないが、どの作品も音楽だけでなくヒューマンドラマとしての完成度が高い。

アイルランドのダブリンを舞台に、ストリート・ミュージシャンの地元の男性とピアノを愛するチェコ移民の若い女性が街で出会い、音樂を通して心を通わせていく姿を描いた感動ラブストーリー。

主演は、共にプロのミュージシャンとして活躍しているザ・フレイムスのグレン・ハンサードとチェコ出身のマルケタ・イルグロヴァ。とにかく、2人が奏でるハーモニーが美しくて心地良い。穴の空いたギターを抱えるストリートミュージシャンの男、楽器店でピアノを弾かせてもらえる時間だけを楽しみにしている移民の女、何の接点もない2人のたった1度の出会いが、音楽という力で繋がっていく。「はじまりのうた」同様、ドキュメンタリータッチの雰囲気が、何処かの街でありそうな自然体の映像で迫ってくる。

とても素敵な作品だった。
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