ハル

秒速5センチメートルのハルのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
3.9
いつまでも引きずって気持ち悪いストーカー野郎だな!
あるいは“男ってこんなふうにこじらせちゃう人いるよね〜分かる分かる”という好意的な受け止め方ができるかどうか。
好みによって思いっきり二極化してしまう作品だなぁと改めて思った。

学生にしろ社会人にしろ、形に残る新しい出会いがあればすんなり次へ行けるのかな…
心に潤いがないと過去の美化された幻想にしがみつき、渇きしかなくなるのかも知れない。
思い出がいつしか呪縛に変わり、囚われ続けてしまった貴樹の描写はリアルで切なく。
送る宛のないメールを永遠と作り始めたら危険信号だよね。

“コスモナウト”編の澄田さんはとても良い娘だったし、彼女と付き合えば良かったのに…
ただ、彼女も脳内で恋愛が完結しちゃうタイプだから察するのは難しいのか。

トータルの所感としては兎にも角にも遠距離って難しいな、と。
経験者なのでこの部分は痛いほど共感…
スマホが普及していない頃の時代設定だから、手紙のやり取りや電話になってしまうし、難易度はより高い。
家電で長電話すると果てしなく高いんだよ!!

初恋の明里が良い女過ぎたのも良くなかったような気もしたり。
すっかり新海誠ワールドに取り込まれ、山崎まさよしに聴き入っていたらエンドロール。
短いお話が続く3部構成、割と好きな部類の新海誠作品。
ただ、ダークモード貴樹が苦手な方は多いようです(笑)
あの、世の中には割とこんな男いますよ!

なお、今回は“すずめの戸締まり”の公開記念IMAX上映イベントでの鑑賞に参加。
映し出される美しい原風景を観る度、新海作品の鑑賞はスクリーンに限る事を実感。
監督自ら、美術や映像の細部までやり切るという拘りの部分を強く感じられたし、稀有な色彩感覚に包まれ感動の一時。
胸躍る企画に感謝です。
ハル

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