雨丘もびり

サイダーハウス・ルールの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)
4.8
【following様の鑑賞リストから選んで観てみた】
豊かな、あまりにも豊かな対話に、ため息が出ます。
Tranquillo Ma Deciso(’おだやかに、決然と)。
人物たちのことばの波に、心が浮かび、押し流され、引き戻される。

見終えて、そのまま一人になりたくなりました。
しゃべりたくないし、聞きたくもないこころ持ち。

字幕が意味不明で、途中で吹替えにしたら、なんとか、それでも深くひたることができた。
M.ケインの声で物語を追えないのは悔しいけど、中村正さんの語りは素晴らしい。
大事なとこだけ後で原語再生した上で、両雄甲乙付け難し。
Wキャスト。

【印象深い会話を3つ】
「・・・みんな信じるかな?」
「信じるさ。。。信じたいからね」

「女性は大勢見てきたけど何も感じなかった」
 ※註:孤児のメアリ=アグネスに失礼(^^;)

「僕は医師じゃない。すみません、戻れません。」
「謝るのか?私は、謝らないゾ。何も後悔していない。お前を愛したこともね」
 ※ホーマーが涙を流す理由、こんな厚い心情、説明できない。

・・・BGMのピアノがズルいよ~モぉ(泣)。

【子供が成長するための通過儀礼】
子は、親のくびきから脱し、成り行き任せで振舞って、行き詰まり、自ら道を切り開く。
一方的に押し付けられた就業規則(Cider-house Rules)を破り捨て、己が人生の王座に着く。
それは、親が毎夜毎晩、子供に向けて願う希望。
「おやすみ、メイン州の王子達、ニューイングランドの王達よ。」
親の愛、子の成長に尊さを感じる。
   
すべてが美しく紡がれたお話をたどり、心が静かになる心地よさ。
半面、観念的な物語でもあり、細かい突っ込みどころも少々。
かなりブランク経ってるのに施術、危なくない?
あと、ラストシーンの演技はみんなちょっとクサいかな(ご愛嬌)。

からだの中に
深いさけびがあり
口はそれ故につぐまれる
(谷川俊太郎「からだの中に」抜粋)