みちろう

晩春のみちろうのレビュー・感想・評価

晩春(1949年製作の映画)
4.8
妻に先立たれた父とそれを支える一人娘との絆や親子愛、思い出が感動的に描かれた映画。

初鑑賞の小津安二郎監督作、無駄を省かれた映像が並んでいて、登場人物の表情をでかでかと見せる時もあれば人より背景が先に来るような場面もあり、とにかくそこらへんのカメラ技術がとても観やすく感じた。

親近感ある表現によって親子の関係性や心情がビシバシ伝わり、同じ時間が永遠に続かず常に変わっていく人生の成り行きが寂しくもあり輝いてもいるというこの教訓に感動、爆泣き不可避のストーリー。

登場人物それぞれの役柄も演技臭くない自然なものでどこか面白くて頭に残る台詞ばかり話す。特にお父さんのどんな時でも落ち着いてる穏やかな人柄はそれまでの映画では感じたことないようなリアルさがあり不思議と心を動かされる。紀子の明るく美しい笑顔も忘れられない。

70年ほど前の映画なのに今にも通じるテーマと色褪せない内容、クオリティ。名作。
みちろう

みちろう