みちろう

フォロウィングのみちろうのレビュー・感想・評価

フォロウィング(1998年製作の映画)
4.5
クリストファーノーラン長編第一作

赤の他人を尾行することを趣味としている男。ある日たまたま目をつけた男が実は裏で空き巣を趣味でしていることが判明して事件に巻き込まれてしまう。

他人を尾行するが目的は人間観察で人物はランダム、ある程度情報が得られたらもう追わないなど主人公の動機はストーカーとはちょっと違っている。心の内では誰もがちょっと気になってそうな普段は見ることのない他人のプライベートを覗く人の性を刺激するテーマがまず面白い。

空き巣のシーンは見つからないように他人の生活に踏み入るのがスリリングだし、犯罪組織が背後にあり謎を多く抱える美しい女性に主人公が惹かれていくフィルムノワールな展開がミステリアス。さらに二転三転する結末。テーマやクオリティだけでなく1時間10分の尺で十分引き込まれる面白さがしっかりしてるのもなかなかすごい。

低予算なのに安っぽさをあまり感じなくて印象に残るカメラワークや時系列をシャッフルすることで比較的単純なストーリーを少し複雑に見せるやり方などホント今の壮大なノーラン映画から全てを削ぎ落とした純粋な才能とセンスが輝いている。

ノーラン監督の低予算、自主制作、デビュー作の背景を考えながら観ると相当すごくて個人的にかなり良い映画だと思った。コーエン兄弟のデビュー作「ブラッドシンプル」と同じようにまっさらな状態から溢れる野心で作られた一作目からでしか感じない監督のパッションや本質がこの映画からも伝わる。デビュー作系かなり好きかも。

Cobb/パンティ/箱/take it and show them / バー
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