このレビューはネタバレを含みます
詩的である。 忌まわしい何かが、反復を通し増幅されていく。
銃を掘り出した少年は自身が呪いを運ぶ存在となる。
映画史上空前絶後、最悪の二択で殺せなかった少年は、だからといって何かの救いを得たわけではなく、絶望が募る。最後の行軍には、かつての自分に似た少年がいる。長回しで雪の季節に切り替わる結末まで、ひたすらに打ちのめされていく。史実ではこのあと戦争は終わるはずだが、それは特に描かれない。
家族も村も失い、ヒットラー像の作成の中で、ナチスに対する憎しみにより復活を遂げる主人公は、復讐を完遂できない。
幼子には引き金が引けない。
人狼部隊を焼き払わなかった人々もまた、彼らと同じレベルに落ちようとはしなかった。
呪いは抜け落ちたかもしれないが、絶望は残る。