もしもし五反田

リトル・ミス・サンシャインのもしもし五反田のレビュー・感想・評価

4.5
私にとっての“THE 映画”。
映画ってこんなにおもしろくて、ずっと心に残って、余韻まで楽しめるんだなあ、と知ることになった、ベストワンな映画です。

ハタチそこそこでこの映画を観た時には、コミカル要素の強い印象だった。
でもそこから時間が経って、経験も積んで、たくさんの人に出会った自分として改めて観てみると、
登場人物みんなが本当に愛らしい。愛らしさでキラキラして見えてくる。

“人間って本当におもしろい生き物だなあ”と、心がソワソワさわさわしてきます。

家族でさえそれぞれに価値観が違って、大切にしているものが違って、向いている方向は違う。
その中で、正しさや美しさ、子どもらしさ、勝ち組/負け組の定義を揺さぶってくるし、
「かっこよさって何?」「何を持って負け犬と呼べるの?」と問いかけてくる。
その答えは、「そのままでいい」「あるがままでいい」「誰にもその存在を否定することなんてできない」になる。

落ちこぼれは落ちこぼれなりの、負け犬は負け犬なりの信念と価値観とコンプレックスを抱えて生きていく。
でも時々それぞれがつながって手をつなげば、補い合えば、なんだか元気が出る。まあいいか、と思える。頬が緩む。口角が上がる。MCハマーの「U can’t touch this」でダンスしたくなる。

いいなあ。
こういう瞬間って、今も、明日も、明後日も、私の身の上にたくさん起きてほしいなあ。