もしもし五反田

シャインのもしもし五反田のレビュー・感想・評価

シャイン(1996年製作の映画)
3.8
素晴らしい音楽の才能がありながら、周囲の環境や境遇、運命によって、光を掴むことができなかったピアニスト、デイヴィッド・ヘルフゴッドの人生を描いたストーリー。

その中で重きが置かれているのは、人間を取り巻く“愛のかたち”だと思った。

デイヴィットの父親は、どうして才能を認めたり、素晴らしさを褒めたり、ひとりの人間として認めることができなかったのか。
大切な息子が放つ輝きを称えることができなかったのか。
父親自身の生い立ちに問題が?
うるせえ。私にとっては情けを少しも寄せることができない完全な悪としか思えない。

子を抑圧して、縛りつける。
エゴをぶつける。自身の果たせなかった夢を強引に息子に託す。
力を振るうことで、威厳を見せつけたつもりか?
そんなの、愛じゃない。

一方で妻・ギリアンは、愛によって彼自身も、彼の才能も、彼が奏でる音楽も、彼の病気も包んだ。それはあたたかな愛であった。
観衆たちは彼の音楽に耳を傾け、鍵盤の上を滑らかに滑る指に深く見入ることで愛を届けた。素晴らしい演奏を称賛した。

だから、ディヴィッドは再生した。
歪んだ愛によって破壊されたその身に、純真な愛が満たされていく。

愛のかたちやその強さは、どのように表すことができるのだろう。
そして、目の前にいる人をまっすぐに愛するためには、私は何ができるのだろう。
人を愛するというのは、一体どういうことなのでしょうかね。正しさなんて、ないんでしょうけど。