いの

ベロニカ・フォスのあこがれのいののレビュー・感想・評価

3.5
映画のどこかで“光と影”のはなしが出てきたけれど、特にふたりが出逢った場所での光と影が美しく、モノクロの艶っぽさを感じる。夜、雨、電車。戦前は華やかだったけど、戦後は落ち目となっている女優:ベロニカ・フォスの“光と影”。回想したり妄想したりしているときの自分は、シャンデリアやミラーボールの光のように輝くけれど、現実世界に戻れば輝きを失う。人の前では華やかさを保ちたい。けれどそれには無理が生じてくる。


「負けてる途中がいい(完全に負けたら終わり)」という台詞も印象深かった。女優の強烈な自意識や、自分の為に他者を巻き込んでいく様子は観ていてすこし冷めてしまった。自分には魅力があると思っているからこそ他者を振り回せるんだもの。んなのアタシには関係ない話だ。男性記者のガールフレンドが、映画のなかでの一般人代表だと思うんだけど、その女性が気の毒だった。全てコトが終われば、また元の生活に戻っていける記者をみていると、観ていたアタシの徒労感増し増し。


メモ
ドイツ出身の女優ジビレ・シュミッツの伝記に着想を得ているとのこと(wikiによる)。そのジビレ・シュミッツを調べてみると、この映画のことがよりわかる(ように思う)
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