TAK44マグナム

トイ・ソルジャーのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

トイ・ソルジャー(1991年製作の映画)
3.6
俺たちは落ちこぼれ。
だけど、やる時はやるぜ!


ブルーレイを購入、再鑑賞したので再レビュー。

80年代にアクション映画を変えたと言っても過言では無い「ダイ・ハード」は、画期的な映画でした。
何が画期的だったかと言うと、それ以後のアクション映画で多用されるようになる雛形の完成形であったからです。
つまり、テロリストや犯罪集団などの悪いやつらが、ビルや船や競技場などの空間を占拠して、そこに偶然(←ここ大事)、頼りになりそうもないのに実はすごく頼りになる奴がいて、ひとり(または協力者あり)で悪の軍団を殲滅、メデタシメデタシ!といった、「これならロケ地も限定できて安上がりだし、アイデア次第で面白い映画になる」というフォーマットを完成させた作品だったのです。
「ダイ・ハード」自体はシリーズが進むにつれて、自らが作り上げたフォーマットを逸脱してゆきますが、セガールの「沈黙の戦艦」やヴァンダムの「サドンデス」の様に次々とフォロワー作品が製作され、一定の成功を得ました。

そんな「ダイ・ハード」フォロワーの中でも一際異彩を放っていたのが「トイソルジャー」です。

舞台となるのは全寮制の男子学校(なので、非常に珍しいことにメインの登場人物に女性はいない)。
金持ちの子供たちが多く寄宿しているので、テロリストにとっては恰好のカモってわけですね。
そして、テロ集団と戦うことになるのが、悪ガキグループとなります。つまり、生徒が凶悪なテロ集団と戦うことになるのです。
ここがミソ。
まあ、子供なんで正面きって戦うのは無謀というわけで、主に頭を使います。
学校内の状況やテロ集団の人数などの情報を命懸けで外部に知らせたり、ラジコン飛行機の受信機を爆弾の起爆阻止に使ったりと、テロリスト達に気づかれないように様々な反攻工作に勤しむのです。
派手な銃撃戦に頼らず、アクション一辺倒よりもスリラーの色合いが強いのも本作の特徴で、「ダイ・ハード」をただコピーしたB級作品とは一線を画した良作。


主人公であるデビット役に「グーニーズ」のショーン・アスティン。
マフィアのボスの息子役で「スタンド・バイ・ミー」のウィル・ウィトンが出演。
当時のアイドル俳優映画としての側面もありそうなキャスティングですね。
その他、ルイス・ゴセット・Jr.や、R・リー・アーメイ、アンドリュー・ディボフなど渋い共演陣が脇を固めています。

監督のダニエル・ペトリ・Jr.は「ビバリーヒルズコップ」の脚本で知られ、脚本担当のデヴィッド・コープは本作以後、「ジュラシックパーク」や「スパイダーマン」といった大作を多く手がける売れっ子となりました。
実際は、広くヨーロッパを舞台とした大型のアクション映画であった当初の脚本を、舞台をアメリカの学校に限定したものにダニエル・ペトリ・Jr.がリライトしたらしいです。


ちょいと古臭さは鼻につきますが、友情や葛藤といった青春映画に付き物の要素を重視し、アクションスターのカリスマ性に頼っていない、珍しいタイプの「ダイ・ハード」フォロワーとして、今回のようにブルーレイ化されたりとサルベージされるのは非常に喜ばしく、有意義な事だと思いますよ。


因みに、故コリー・ハイム主演の「トイソルジャー'96」続いて「トイソルジャー'97」が製作されましたが、これらは本作とは関係のないテレビ映画で、まるで続編のような邦題が勝手につけられました(汗)
しかしながら、「ダイ・ハード」のスタイルを純粋にコピーしているのは、実はこの二本の方でして、個人的に本作と変わらないぐらい(もしくはそれ以上)好きなパチモノだったりします。


※再レビュー

レンタルビデオ、セルブルーレイにて