千年女優

シザーハンズの千年女優のレビュー・感想・評価

シザーハンズ(1990年製作の映画)
4.0
町はずれの山頂に暮らす発明家が生み出さした人造人間で、ハサミで作られた仮初の手を替えようとした矢先に生みの親を亡くしてしまったエドワード。時が経ち、孤独に暮らしていたところを訪ねた営業販売員のペグ宅に引き取られた彼が、一家との交流で温かみを得るもその手が不意に人を傷つけてしまう様を描いたファンタジー映画です。

ディズニースタジオから独立後に世界的ヒーロー映画『バットマン』を手掛けて一躍世間に名を轟かせたティム・バートンが人間関係に苦労してきた少年時代をモチーフに制作したオリジナル映画で、後に何度もタッグを組むこととなるジョニー・デップが演じる哀しくはかない物語が批評と興行の両面で成功を収めて彼の代表作になりました。

『フランケンシュタイン』を連想させるダークファンタジーでも人間社会とのギャップに戸惑いながら打ち解けていく前半はコミカルで雰囲気も明るいですが、メディアへの出演をきっかけに徐々に不穏さが漂い出します。遂には起こってしまう決定的な断絶はあまりにも切なく、様々な面で他人を傷つけてしまう人の性に胸が苦しい一作です。
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