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ロリ・マドンナ戦争のkirioのレビュー・感想・評価

ロリ・マドンナ戦争(1973年製作の映画)
3.6
TSUTAYAの発掘良品にてソフト化
見る機会はともかく、見所のありなしも変わりそうな一本

「バニシング・ポイント」のリチャード・サラフィアン監督
田舎街を舞台に、独特の閉鎖された空気から血みどろの戦争へと変貌していく様を描く
ジョン・ブアマンの「脱出」や、極端に登場人物の少ない「ドゥーザライトシング」だろう

アメリカ南西部のとある町に陣取るフェザー家とガットシャル家
一家の主人同士の因縁に始まり、およそ自分たちの街から出たことのない彼らの息子たちも、毎日いがみ合いながら暮らしていた
ある日、一方がちょっとした罠「ロリマドンナ」なる女の手紙をでっち上げる
ところが偶然、旅行で居合わせた女がいたことから、彼女は空想のロリマドンナと間違われ監禁されてしまう
それを発端に両家の境界線が次々と崩れはじめ、単なる土地の取り合いだったはずの喧嘩は、いつのまにか死人をだし、農地を焦土と化していく

田舎の閉鎖した空気と狂気をテーマにしながら、おそらくその背後には黒澤明の「用心棒」の如く、両家を米ソやベトナム戦争の徒花に見立てたい想いもあったのではないだろうか
くだらない覇権争いから泥沼へとハマっていったアメリカの残りカスを、描きたかったのかもしれない
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