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恋の骨折り損のSPNminacoのレビュー・感想・評価

恋の骨折り損(1999年製作の映画)
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ケネス・ブラナーお得意のシェイクスピア戯曲を往年のハリウッド・ミュージカル仕立てで。タイトルクレジットとモノクロの幕開けからすべてが様式美!
オール・スタジオセット、テクニカラー風に赤青黄緑のドレス、コール・ポーターやガーシュウィンのスタンダードナンバー、バークレイ様式や水中バレエ、アステアやジーン・ケリーになりきった振り付け。主要キャストとして若きブラナー自身も歌い踊り、かつてのMGMやRKOミュージカル映画愛がこれでもかと。もちろんシェイクスピア喜劇らしい台詞回しや道化役もしっかり活かし、一粒で二度美味しい贅沢な夢の劇場となっている。
そんなオマージュとしてはすごく微笑ましくて楽しいのだけど、歌とダンスのレヴェルで空回りは否めない…。お手本であるミュージカル映画と同じような振り付けや構図なので、どうしても差が目立っちゃう。ネイサン・レインやティモシー・スポールら安定感ある舞台俳優が脇で支えるものの、アリシア・シルヴァーストーンとかミュージカル向きの声じゃない人が多すぎた。
でも、2000年当時の若手オールスターは可愛らしくて貴重(アレッサンドロ・ニヴォラとエミリー・モーティマーはこれがきっかけで結婚したんだなあ)。また、大戦を背景に置くことで、他愛もない恋の駆け引き、ロマンティックな歌とダンスこそ価値があるのだと示すブラナーだった。ショウほど素敵な商売はない。
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