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ウエディングのBaadのレビュー・感想・評価

ウエディング(1978年製作の映画)
5.0
最初に見たのは80年代半ばですが、「あっ、珍しく普通のアメリカ人がいっぱい出ている映画だ。」というのがその時の感想で、強く印象に残りました。
とはいえ、三本立ての一本で、後の予定が詰まっていたので、面白そうだったのに20分ほどで退出。とても残念でした。

その後20年ほどしてBSでじっくりと見たのですが、出ているのは普通のアメリカ人でも話の運びはけっこうとんでもなくて、それぞれの登場人物が性格に応じて勝手な行動をするので、後半はけっこうびっくりする事が多かったのですが、それでもどういうつながりで、それぞれの登場人物が一見突飛な行動をするのかは割と分かり易かった。

それに、70年代半ばから80年代のアメリカ人のイメージって、こんな感じですよね。何となく欲求不満で今より子供っぽさを隠さない感じ。

シネスコの画面を意識した構図の美しさ、遊びの多い映像を堪能しました。

これは、実は今の所アルトマンでは見た中で一番好きな映画なんですが、70年代を経験していない人には判りにくいかもしれない。

はちゃめちゃですが、なにがいいって、カジュアルなのに映っている対象ときっちり距離を置いて撮られている『ナッシュビル』なんかと違って、技巧を凝らして撮っているのに、映っている対象への思い入れが半端ではないことが伝わってくるのがたまらない。

イオセリアーニの『素敵な歌と船はゆく』は、全篇この映画へのオマージュなのではないかと思うくらい似ていますが、この映画よりずっと穏やかで大人ですね。

作品の中程でミア・ファローが裸で花束を持っている肖像画が出てきますが、その絵のように、アメリカの裸の70年代をお澄まししてあぶり出してみせた祝祭映画といえるかもしれません。

途中で宴会から逃げ出す男たちと、リリアン・ギッシュがとりわけ大好きです。

(70年代のアメリカを映した祝祭映画 2012/6/26記)
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