蟻子

真実の行方の蟻子のレビュー・感想・評価

真実の行方(1996年製作の映画)
3.8
『どんでん返し系おすすめ映画』として紹介され視聴しました。まさにクリティカルなどんでん返しを喰らい、大変満足です。

もしかして金字塔的名作なのかもですが私も夫も知らなかったので、『シックスセンス』も『シャッターアイランド』も『ユージュアルサスペクツ』ももう見ちゃったよぉ!何かいいのないの?!という方にはぜひオススメです。

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シカゴで大司教が惨殺される事件が発生し、その事件に関する裁判を追っていくストーリー。

リチャード・ギア演じる今作の主人公マーティン・ベイルは、元検事でもある敏腕弁護士。世間から注目を浴びることが好きだったり、部下に対してパワハラ気味だったりの傲慢な面がある彼は、弁護士として裁判に勝つためには嘘をつくことも厭わない姿勢をあけっ広げにしている。
あーなるほどそういう意味での「真実の行方」ってテーマなのか…と考えながらストーリーを追っていく。

エドワード・ノートン演じる容疑者のアーロンは、いかにも気弱で70何箇所メッタ刺しの殺人なんて犯せるようには到底見えず、第三者の存在を主張していることから、見ているこちらもその通りなんだろうなぁと感じ、真犯人は誰なのかと探っていく。

しかしアーロンは幼少期のつらい体験などから精神分裂の症状が起きており、ロイという二重人格が存在することが発覚する。
それまで少し淡々と視聴していたこちらも、乱暴な口調のロイの突然の登場に思わず「なんだと?!」とスイッチが入る。もしかしてどんでん返しはコレ系でくるのか!!と身構えるし、今後の展開に興奮する。
(個人的に二重人格って要素は不謹慎ながらロマンがあるというか、面白いので好き)



*この先は核心に触れるネタバレ有りです。
(ネタバレ回避派の人にこれだけは伝えたいのですが、この映画数秒ではありますが美しいおっぱいが見れます。以上です。)



私はドラマや映画で得た知識しかないので法律には全く詳しくないのですが、第三者の存在による無罪を主張している途中に精神分裂という事実が発覚した場合、方針転換して精神症状による無罪を主張することはできないとのことで、あぁそういう意味での「真実の行方」っていうテーマでもあるのか…。と思いながら結末を追います。

マーティンの上手い誘導もあって見事、アーロンからロイに変わる瞬間を法廷の全員が目撃。裁判は続行不可能になってマーティンは無罪を勝ち取りました。
ついでに元カノである女検事ジャネットともちょっといい感じになって、全てが上手くいった…といい気分のところでマーティンはアーロンの元へ裁判の結果を伝えるため面会に行きます。

しかしこのあたりで私のどんでん返しセンサーはまだ警戒していました。
映画残り15分あたりでロイが法廷で大暴れしたので、これか?これのことか??と思いつつ、いやどんでん返しの名作というからにはラスト数分まで油断禁物のはず、いやむしろそうであってくれ…!!と。

結果はまさしくご存知の通りの大どんでん返しでございます。


「はじめからロイはいなかったのか」

「あんたがそんなこと言うなんてガッカリだ」
「存在しなかったのはアーロンの方なのさ」


ひーーー!!たまらーーーーん!!!


えっじゃあ今までのぜーーんぶ演技だったってこと?わかってても凄すぎる。
脚本はもちろん、エドワード・ノートンの演技が…しびれる…最高…。


茫然としたまま裁判所を後にするマーティンと共に、こちらも茫然。
大変後味が重たいです。

真実とは?
裁かれるべき悪人とは?
じゃあ裁判とは?弁護とは…?と、重たく問いかけてきます。


なるほどこれは一見の価値ある不朽の名作ですね。
蟻子

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