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ヴィデオドロームのaratakiのネタバレレビュー・内容・結末

ヴィデオドローム(1982年製作の映画)
2.9

このレビューはネタバレを含みます

観終わった後もしばらく
一体何を観ていたんだろう...という気持ちになるので
本作自体がまさに‟ビデオドローム”だった(笑)

‟現実”と‟非現実”、‟実像”と‟虚像”が
次第に曖昧になっていく様が
おどろおどろしい造形を交えて
かなり強烈に描かれていた。

何が何だか分からないままに進んでいく
気持ち悪さも本作の醍醐味のひとつ。
気持ちのいい気持ち悪さみたいな(笑)

何度も暴力シーンを観ていくうちに
どんどん過激なものを求めていく人たち。
これって《ネット社会》と呼ばれる
現代でも言えることで
こうして映画を観ている私自身も
あながち例外ではないのかもしれない。

バイオレンスな内容の作品を立て続けに観ていると
本来なら目を背けるようなシーンも
次第に平気で観られる様になったりする。
ある種の‟慣れ”、‟耐性"がつくことによって
良くも悪くも色んな物事に鈍感になっていくような。
(もしかしたら大人に比べて
子どもの感受性が鋭いというのも
そういうことなのかもしれないな、と。)

とは言え、映画の場合は
フィクションであることを認識した上で鑑賞し、
現実社会における善悪とは
一線を置いている(別物として認識)ので
問題ないと個人的には思っているんだけど。
(昨今の映像表現に対する規制の数々には疑問)

本作は80年代、VHSが普及しはじめた頃なので
今とは観ている側の感覚もかなり違うんだろうけど、
既に存在しない人物が
死後も画面の中で存在し続けるなど
なんだか今でも起こり得そうなことが
描かれていたのは面白かった。

全体的には訳の分からない過激な描写が続いたり、
内容も到底全ては理解しきれていないけど、
こんなことをぐるぐると考え込んでいるので
ひょっとすると鑑賞中よりも
鑑賞後の方が怖いかもしれない...笑

まだCG技術のない時代の
特殊メイクを用いたグロテスクな造形の数々は
見応えがあった◎



2020-086
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