もっちゃん

あの子を探してのもっちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

あの子を探して(1999年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

中国の貧しい山村で先生をすることになった13歳の少女が行方不明になった自分の生徒を探しに行くというストーリー。実際の生徒を使っており、ほとんどのキャストは素人である。ゆえに山村の生徒たちは皆すれてなく、いい意味で小汚い。だからこそ自然な演技が引き出されている。

13歳の少女ミンジは頑固で曲がったことは嫌いであり、生徒に対しても「これは先生が言ってたんだから」とまじめに反論する。きれいに板書し、やんちゃな男の子を真っ向から非難する。そんな彼女の授業を最初は全く聞く耳持たなった生徒たちが、失踪した少年ホエクーを探すという目的の元に一つになる。街までの運賃の計算、それを稼ぐための見積もりの算出で今までできていなかった授業がちゃんとできているのは上手い演出である。

中国の貧富の格差は当時は今もってなお拡大中であろう。持つものと持たざるものの格差は教育によって再生産され、さらなる格差につながっていく。これがチャン・イーモウ監督の伝えたかったテーマだろう。「おら東京さ行ぐだ」さながらの物的格差が存在していたと考えても差し支えないだろう。ラストの展開はハッピーエンドすぎて腑に落ちないのは否めないが、物語のテーマが一貫していてスッと心に響く作品であった。